こんにちは。「針葉樹」と「広葉樹」について調べると、日本で今起きている問題や自然界の摂理などいろんなことが見えてきます。一緒に考えていきましょう。
「針葉樹」「広葉樹」2つの分類に分けられます
まず地球上の樹木は「針葉樹」か「広葉樹」のいずれかに分けられます。
一番分かりやすい特徴は葉っぱの形です。針葉樹は文字通り針のような細くて尖った形をしています。そして広葉樹は平べったくて楕円形です。
ただし例外的もあり、針葉樹林のイチョウなどは、ご存知のように葉っぱが平べったい形状をしています。
生育地域としては針葉樹は、一般的に寒い地域に分布している傾向があり、広葉樹は、あたたかい地域に分布する傾向にあります。
次に分かりやすい特徴は、樹木のフォルムです。
針葉樹は上にまっすぐ伸びて、とんがりコーンのように円錐状(えんすいじょう)。クリスマスツリーといえば分かりやすいと思います。
広葉樹は枝分かれして横に枝が伸びるため、綿菓子のように丸くこんもりと育ちます。桜を思い描いていただければ、分かりやすいと思います。
材木としての違い
まだまだ、たくさんの違いがありますよー
材木としての違いも見てみましょう。
広葉樹は組織構造が複雑で細胞の密度が濃いため、穴となる部分が非常に少なく、硬くて重たい材質という特徴があります。また木目も複雑で面白いので、床材や家具などにもよく用いられます。
それに比べて、針葉樹は組織構造が単純で、細胞の密度も低いため、穴となる部分も多く、やわらかくて軽い材質が特徴的です。材木業界ではソフトウッドなと呼ばれたりもします。まっすぐ伸びることが特徴なので用途としては柱などに用いられます。
広葉樹で葉っぱが落ちない「照葉樹」 時代とともに変わる日本の樹木の変遷
他にも特徴があります。針葉樹は冬になっても葉っぱが緑のままで落ち葉になりません。(※カラマツ・メタセコイヤなどの例外もあり)しかし、広葉樹は、冬に落ち葉となるものと、落ち葉にならないものに分かれます。
冬に葉を落とすものを落葉樹。そして季節を問わず葉をつけているものを常緑樹といいます。
そして常緑の広葉樹のなかでも、葉の表面の光沢が強い特徴をもつ、例えばカシ・シイ・クスのような植物を「照葉樹」といいます。深緑色の葉が特徴でツバキの葉と言えば分かりやすいと思います。実は、その昔日本の広範囲を覆いつくしていたのはこの「照葉樹」でした。
照葉樹については、文化人類学の中尾佐助さんの学説、「照葉樹林文化論」がとっても面白いので、園長のひとり言でまたご紹介したいなと思います。
しかし開発によって大部分の照葉樹林は、育ちが早くて人間にとって都合のよい針葉樹林にとってかわり、日本の総森林面積のわずか1.2%となっています。
この過剰な針葉樹林化は、日本のめざましい発展と引き換えにいろんな問題を引き起こしました。たとえば土砂災害や水害の原因や、さらには現代の日本人が苦しんでいる花粉症という病気まで生み出してしまったのです。
一匹オオカミ系樹木 針葉樹・みんなと共存系樹木 広葉樹
もう一つ重要な違いとして、針葉樹は裸子植物で広葉樹は被子植物であることにもお話しなくてはなりません。
簡単に言うと被子植物は胚珠(はいしゅ:タネのもとになるもの)が包まれていて、逆に裸子植物は胚珠(はいしゅ)がむき出しになっています。
被子植物である広葉樹の胚珠は受精できると実となります。ちなみに、広葉樹の多くが落葉するのは、実を作ることに栄養を集中させることに起因します。
また、広葉樹は実を作ることで、風任せの針葉樹と違い、鳥や動物などに遠くまで自分のタネを運んでもらうことができるという効果的な繁殖方法をとっています。そのため、広葉樹林には動物が住み着きやすくなるのです。
針葉樹林が生まれたのが3億年前。広葉樹が生まれたのが1億3千万年前と言われています。針葉樹が500種類程度しかないのに比べ、広葉樹林がなんと20万種と圧倒的に豊富であることもうなずけます。
また落葉をする広葉樹の葉は、土壌生物にとっても大切な餌にもなります。しかし針葉樹は、ほとんどの種では落葉をせず、さらには、また針葉樹は背が高いので地面に日光が届きにくく雑草も生えにくくしてしまします。
寒冷地や厳しい環境でも生きていける針葉樹は、他の生物を追い払い一匹オオカミのように、ある意味では男らしいハードボイルドさを感じますが、広葉樹はみんなと共存する形をとり、自分以外に生物にも恵みを提供しながら、ある意味ではしたたかに生きているなという感じもします。
針葉樹・広葉樹の違いまとめ
最後に針葉樹と広葉樹の違いをまとめてみたいと思います。
- 【誕生】針葉樹 3億年前 / 広葉樹 1億3千万年前
- 【種類数】針葉樹 500種類 / 広葉樹 20万種類
- 【胚珠の状態】針葉樹 裸子植物 / 広葉樹 被子植物
- 【落葉】針葉樹 常緑樹(例外・アカマツ) / 広葉樹 落葉樹・常緑樹に分かれる
- 【材質】針葉樹 やわらかくて軽い材質 / 広葉樹 硬くて重たい材質
- 【フォルム】針葉樹 円錐状(えんすいじょう) / 広葉樹 丸くこんもり
- 【生育地域】針葉樹 寒い地域 / 広葉樹 あたたかい地域
- 【葉っぱ】針葉樹 針のような細くて尖った形(例外・イチョウ) / 広葉樹 平べったくて楕円形
今日は針葉樹・広葉樹の違いについて一緒に考えてみました。通勤や通学の途中いつも見ていた街路樹が針葉樹なのか、広葉樹なのか、広葉樹でも照葉樹なのか。冬場でも落葉しない常緑樹なのか。
これまでと違った目線で街路樹を観察してみると、またいろんな発見があると思います。
あの木は針葉樹なのかな?広葉樹なのかな?と、考えながら歩く散歩もなかなか楽しいですよ。本日もご来園ありがとうございました。
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